訪問看護師の仕事と転職

訪問看護師と訪問看護ステーションの仕事と求人について分かりやすく、短くまとめました。

訪問看護師の仕事

訪問看護師の仕事は、重要な役割を果たしています。
まず、患者さんの家に行った後には患者さんの状態をチェックしていくことになります。
病気を持っている患者さんに対しては、患部を細かく見ていくことになりますがそれ以外にも全身のチェックも怠ることはありません。自宅で静養している患者さんの状態を細かくチェックしていくことにより、体調の異変を見逃すことがなくなってきます。その意味でも、細かい点まで見ることができる適性が必要になるでしょう。
訪問看護師の仕事として、排便のケアを行うことも重要になってきます。
在宅で療養している患者さんの多くは高齢者になっています。
高齢になると、便の出が悪くなったり逆に緩くなったりと不安定になりがちです。
訪問看護師は、快適な暮らしを送ることができるように排便の介助を行っていくことになります。
体の状況によっては、浣腸を行うなどの医療行為を行うこともあります。
訪問看護師は実際に患者さんの状態をチェックし、それに合わせた医療行為を行っていきますが、それ以外にも家族の相談に乗ることも多いです。
自宅で患者さんの介護をしている家族は、その都度悩みを感じがちです。
体のケアに悩みを感じることもあれば、患者さんが言うことを聞いてくれないなど精神的な悩みを感じてしまうこともあるでしょう。
このようにいろいろな悩みに関する相談に乗ることにより、家族も安心できる状態で看護を行っていけるようになります。

訪問看護師の転職

訪問看護師の仕事と転職1
訪問看護師の仕事と転職1

訪問看護ステーションは2010年以降、わずか10年間で約2倍に増えており、そのうち訪問看護サービスの90%以上が、訪問看護ステーションが提供してます。(※1)。
病院・クリニック(診療所)も訪問看護をおこなっていますが、訪問看護の中心は、訪問看護ステーションが担っていると言っても過言ではないでしょう。

看護協会の公表している『2021年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果』によれば、看護師の有効求人倍率は求人倍率1.33倍ですが、その中でも訪問看護ステーションの求人倍率は3.22倍(※1)です。
病院(20~199床)が1.8倍、病院(200~499床)が1.4倍ですから、相当、人手不足感が強い職種だといえるでしょう。
ちなみに介護老人福祉施設(特養)が1.13倍、有料老人ホームなど1.04倍となっています。

訪問看護師は看護師または准看護師の資格があれば多くの求人に応募できます。
たとえ未経験であっても、新人からベテランまでの研修制度が充実している訪問看護ステーションなら転職するにしても問題は少ないでしょう。
基本は日勤のみで、時短勤務など様々な勤務体系を用意している職場が多いので、日勤のみ、未経験、ブランクありであっても働ける可能性が高いのは魅力的です。
ただし、実際に働くとなると幅広い看護業務に対応する必要があるため、ある程度の実務経験が必要とされることが多いです。
もちろん、認定看護師(訪問看護分野)、専門看護師(家族支援分野・在宅看護分野)、ケアマネージャーなどの資格などがあれば、より優遇されるでしょう。

気になる訪問看護師の給料は、病院看護師(病棟看護師)より低いというのが長らく定説でした。
しかし、近年の訪問看護師の需給の変化により、病院看護師との賃金格差は縮まってきているというのが、大方の見方です。

「全体の相場としては年収350〜400万円代が多い」

(ナース人材バンク「訪問看護師の給料の相場はどれくらい?」より引用)

「正社員・契約社員(月給)27.5万円~33.2万円」

マイナビ看護師「訪問看護転職ナビ」より引用

「平均年収 日勤常勤 4,396,388円」 

ナースなワタシのお給料「看護師さんの給料明細一覧」(2023/2/1時点)より引用

日勤のみ(夜勤手当なし)や残業の少ない(残業手当なし)職場が多いことを考えると、決して少ない給料だとはいえないでしょう。

訪問看護師の仕事・転職のまとめ

2015年、『訪問看護アクションプラン 2025』で『訪問看護 10ヵ年戦略』が見直されましたが、実際にはまだまだ訪問看護師が不足している状況が続いています。
地域包括ケアシステムの実現を国の方針としているため、病院看護師は将来的には減少する可能性が高いです。
したがって、現在は、訪問看護師への転職のチャンスの時期といえるでしょう。

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【注記】

※1
『訪問看護の現状とこれから2022年版』(公益財団法人日本訪問看護財団)

※2
『2021年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果』(公益社団法人 日本看護協会)

※3
『訪問看護アクションプラン 2025』(公益社団法人日本看護協会・公益財団法人日本訪問看護財団・一般社団法人全国訪問看護事業協会)

この記事を書いた人

佐藤健太

大手医療法人の人事部所属、看護師の採用を担当。その後、人事部長とともに転職エージェントに転職。医療介護人材の採用に携わり、現在に至る。